
なぜ、EOS対策が今必要なのか?|放置するリスクと相次ぐサポート終了についても解説
「現在利用しているサーバーやシステムが古くなってきたが、まだ問題なく動いているから大丈夫だろう」
このように考えている企業は少なくありません。しかし、ITシステムには必ず寿命があります。
特に2025年から2027年にかけては、Windows 10やOffice LTSC 2021、SQL Server 2016、Windows Server 2016など、多くの企業で利用されている製品が相次いでサポート終了(EOS)を迎えるため、企業のIT担当者にとって大きな転換点となります。
サポート終了後の製品を使い続けることは、システム老朽化の問題ではありません。セキュリティリスクの増大や業務停止、コンプライアンス違反、競争力低下など、企業経営そのものに影響を与える可能性があります。
また、EOS対象となる製品が複数ある場合、対応範囲の洗い出しや移行計画の策定、予算確保、検証作業などに多くの時間が必要になります。サポート終了直前になってから対応を始めると、十分な検証ができないまま移行せざるを得なくなったり、ベンダーやエンジニアの確保が難しくなったりする可能性もあります。
本記事では、EOSの基本的な意味から、なぜ今対策が必要なのか、放置するリスク、そして対策の進め方について詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.EOSとは?
- 1.1.EOLとの違い
- 1.2.EOSとEOSLの違い
- 2.なぜ今、EOS対策が必要なのか?
- 2.1.相次ぐ主要製品のサポート終了(EOSラッシュ)
- 2.2.セキュリティリスクの増加
- 2.3.業務停止による損害リスク
- 2.4.DX推進の妨げになる
- 2.5.取引先からのセキュリティ要求への対応
- 3.EOS対策を放置した場合のコスト増大
- 3.1.割高な修理費用
- 3.2.緊急対応コスト
- 3.3.システム障害による機会損失
- 3.4.競争力の低下
- 4.EOS対策の進め方
- 4.1.現状資産を棚卸しする
- 4.2.EOS対象機器を洗い出す
- 4.3.優先順位を決める
- 4.4.移行計画を策定する
- 4.5.検証・実施
- 5.EOS対策でよくある課題
- 5.1.何がEOS対象かわからない
- 5.2.システム構成図が存在しない
- 5.3.前任者が退職している
- 5.4.サーバーの依存関係が不明
- 5.5.予算化できていない
- 6.まとめ
EOSとは?
EOSとは「End Of Support」の略で、メーカーによる製品サポートが終了することを意味します。
EOSを迎えると、以下のようなサポートが受けられなくなります。
・セキュリティ更新プログラムの提供
・不具合修正
・技術サポート
・問い合わせ対応
・一部保守サービス
製品自体は引き続き利用できる場合が多いものの、新たな脆弱性が発見されても対策が行われなくなるため、企業にとって大きなリスクとなります。
特にサーバーや業務システムの場合、「使えるかどうか」だけで判断するのは危険です。画面上は問題なく動作していても、内部ではセキュリティ更新が停止し、障害発生時の保守対応も難しくなっている可能性があります。
つまりEOSとは、製品がすぐに使えなくなるという意味ではなく、「安全に使い続けるための前提が失われる」ということです。この点を正しく理解することが、EOS対策の第一歩になります。
EOLとの違い
EOSと似た言葉にEOL(End Of Life)があります。
EOLは製品ライフサイクルの終了を意味し、製品としての役割が終わることを指します。一方でEOSはサポート終了を意味するため、厳密には異なります。
ただし実際の現場では、EOSとEOLがほぼ同じ意味で使われるケースも少なくありません。どちらも「今後の継続利用には注意が必要な状態」として捉えるとわかりやすいでしょう。
また、EOSが「End Of Sales(販売終了)」を意味する場合もあります。この場合は販売が終了するだけであり、サポート自体は継続されるため注意が必要です。
IT製品のライフサイクルを確認する際には、「販売終了」なのか「サポート終了」なのか、「セキュリティ更新が継続されるのか」を正しく確認することが重要です。
EOSとEOSLの違い
EOSL(End Of Service Life)は、製品に対するすべての保守サービスが完全終了することを意味します。
EOS後もしばらく有償サポートや延長サポートが提供されるケースがありますが、EOSLを迎えると完全にサポート対象外となります。
企業としては、EOSを迎えてから慌てて対応するのではなく、EOSLを迎える前に対策を完了しておくことが理想です。
特に基幹システムや社外向けサービスにかかわるサーバーでは、サポート切れの状態が長引くほどリスクが高まります。移行や更改には一定の期間が必要になるため、サポート終了日から逆算して早めに計画を立てることが重要です。
なぜ今、EOS対策が必要なのか?
EOS対策は以前から重要視されていましたが、現在は特に早急な対応が求められています。
その理由は、複数の主要製品が2025年から2027年にかけて相次いでサポート終了を迎えるためです。これにより、多くの企業で一斉にシステム更新や移行対応が必要になる可能性があります。
相次ぐ主要製品のサポート終了(EOSラッシュ)
近年、多くの企業で利用されている主要製品のサポート終了が、まさに現在進行形で相次いでいます。
・Windows 10:2025年10月14日(すでにサポート終了)
・SQL Server 2016 SP3:2026年7月14日
・Office LTSC 2021:2026年10月13日
・Windows Server 2016:2027年1月12日
すでにサポートが終了したWindows 10への対応に追われるなか、息をつく間もなくSQL ServerやOffice、そして2027年初頭にはWindows Server 2016のEOSが控えています。
セキュリティリスクの増加
EOS後の最大の問題は、セキュリティです。
近年、ランサムウェアや標的型攻撃による被害が急増しています。サポート終了後の製品は、脆弱性が発見されても修正パッチが提供されなくなるため、攻撃者に狙われやすくなります。
そのため、以下のようなリスクが高まります。
・ランサムウェア感染
・情報漏えい
・不正アクセス
・システム改ざん
・社内ネットワークへの侵入
実際、多くのサイバー攻撃は既知の脆弱性を狙って行われています。つまり、すでに修正方法が知られているにもかかわらず、パッチが適用されていない環境が攻撃対象となるのです。
EOS製品を使い続けることは、攻撃者に対して「入口を開けたままにしている状態」ともいえます。
特にインターネットに接続されているサーバーや、外部との通信が発生するシステムでは、リスクがさらに高まります。たとえ社内システムであっても、VPNやリモートアクセス、外部委託先との接続などを通じて攻撃を受ける可能性があります。
業務停止による損害リスク
システム障害は、企業活動に大きな影響を与えます。
古いサーバーやネットワーク機器は経年劣化が進み、以下のような障害が発生しやすくなります。
・ハードウェア故障
・ディスク障害
・電源障害
・性能劣化
・バックアップ失敗
もし基幹システムが停止すれば、受発注停止、生産停止、顧客対応停止、請求処理遅延などにつながり、売上や企業信用に大きな影響を与えます。
また、復旧までの時間が長引けば、社内業務だけでなく取引先や顧客にも影響が広がります。特に24時間稼働が求められるサービスや、複数拠点で利用されるシステムでは、数時間の停止でも大きな損害につながる可能性があります。
EOS対策は、セキュリティ対策であると同時に、事業継続のための対策でもあります。
DX推進の妨げになる
EOS問題は、セキュリティだけではありません。
古いシステムを維持し続けることで、以下のような問題も発生します。
・クラウド移行ができない
・AI活用が進まない
・新しいSaaSが導入できない
・データ活用が進まない
・業務自動化が難しい
例えば、古いOSやミドルウェアに依存したシステムでは、新しいサービスとの連携が難しくなる場合があります。また、セキュリティ要件を満たせないために、クラウドサービスや外部連携ツールの導入が進まないケースもあります。
つまりEOS対策を先送りすることは、DX推進そのものを遅らせる要因にもなるのです。
システム更改は単なるコストではなく、将来の成長に向けたIT基盤づくりでもあります。古いシステムを維持するための投資ではなく、次の事業成長を支える投資として捉えることが重要です。
取引先からのセキュリティ要求への対応
近年は、サプライチェーン全体でセキュリティ強化が求められています。
大手企業を中心に、取引先へ一定水準のセキュリティ対策を求めるケースが増えています。例えば、ISMS、SECURITY ACTION(セキュリティ対策自己宣言)、SCS(サプライチェーンセキュリティ)などへの対応が、取引継続や新規取引の判断材料となることもあります。
EOS製品を利用している状態では、こうした要求に十分応えられない可能性があります。サポート切れのシステムを利用していることが判明すれば、セキュリティ管理体制への不安につながり、取引機会を失うリスクもあります。
企業のセキュリティ対策は、自社だけの問題ではなく、取引先や顧客からの信頼にもかかわる重要なテーマになっています。
EOS対策を放置した場合のコスト増大
EOS対策を先送りすると、一見コストを抑えられているように見えるかもしれません。しかし実際には、放置することで将来的なコストが増大するケースが少なくありません。

割高な修理費用
EOS後はメーカーサポートが終了するため、部品調達や保守対応が難しくなります。
その結果、以下のような費用が発生するケースがあります。
・緊急対応費
・特別保守費
・高額なスポット修理費
・代替機器の緊急調達費
通常時であれば計画的に機器を選定し、予算を確保したうえで移行できます。しかし、障害が発生してから対応すると、選択肢が限られ、費用も高くなりがちです。
更新費用を先送りした結果、かえって高額なコストを支払うことになる場合も少なくありません。
緊急対応コスト
障害が発生してから対応すると、調査費、復旧費、代替機器調達費、作業人件費などが追加で発生します。
また、緊急対応では十分な検証時間を確保できないため、復旧後に別のトラブルが発生するリスクもあります。
計画的な更改と比べると、緊急対応は費用面でも品質面でも不利になりやすいのが実情です。
システム障害による機会損失
システム停止は、ただのIT部門の問題ではありません。
顧客対応の停止、受注機会の損失、出荷遅延、請求遅延、社内業務の停滞など、企業全体に影響します。
特に24時間サービスを提供する企業では、数時間の停止でも大きな損害につながります。また、一度顧客からの信頼を失うと、回復までに時間がかかる場合もあります。
EOS対策を行うことは、こうした機会損失を未然に防ぐ取り組みでもあります。
競争力の低下
老朽化したシステムを使い続ける企業は、最新技術を活用する企業との差が広がります。
業務効率やサービス品質が低下し、市場競争力にも影響を与えます。例えば、クラウドやAIを活用して業務を効率化している企業と、古いシステムの維持に追われている企業では、変化への対応スピードに差が生まれます。
EOS対策を単なる更新作業として捉えるのではなく、競争力を維持・向上させるための基盤整備として考えることが重要です。
EOS対策の進め方
EOS対策を進める際は、いきなり移行先を決めるのではなく、段階的に進めることが大切です。
現状資産を棚卸しする
まずは、自社で利用しているサーバーやシステムを把握します。
サーバー台数、OSのバージョン、利用中のアプリケーション、設置場所、担当部門、利用目的などを整理します。
この段階で重要なのは、「使われているかわからないサーバー」や「担当者が不明なシステム」も含めて洗い出すことです。
EOS対象機器を洗い出す
次に、どの製品がいつEOSを迎えるのかを確認します。
Windows Server、SQL Server、Office製品、ネットワーク機器、バックアップソフトなど、対象はサーバーOSだけではありません。
利用しているソフトウェアや周辺機器も含めて確認することで、対応漏れを防ぐことができます。
優先順位を決める
すべてのシステムを同時に対応することは現実的ではありません。
そのため、基幹システムや重要システム、外部公開されているサーバー、個人情報や機密情報を扱うシステムから優先的に対応します。
優先順位を決める際は、業務影響度、セキュリティリスク、移行難易度、EOSまでの残り期間を基準に整理するとよいでしょう。
移行計画を策定する
優先順位が決まったら、移行スケジュールや予算を整理します。
サーバーリプレイスを行うのか、クラウドへ移行するのか、ESUや第三者保守で一時的に延命するのかを検討します。
また、移行に伴う停止時間、利用部門との調整、バックアップ取得、テスト環境の準備なども計画に含める必要があります。
検証・実施
本番移行前には十分な検証を行い、安全に更改を進めます。
特に業務アプリケーションがかかわる場合は、動作確認や性能確認、周辺システムとの連携確認が重要です。
移行後にトラブルが発生しないよう、事前検証と切り戻し計画を準備しておくことが大切です。
EOS対策でよくある課題
企業の現場では、EOS対策を進めようとしても次のような課題がよく見られます。
何がEOS対象かわからない
長年運用されている環境では、どのサーバーやソフトウェアがEOS対象なのか把握できていないケースがあります。
特に複数拠点でサーバーを運用している場合や、過去に部門ごとにシステムを導入してきた場合は、管理台帳が最新化されていないこともあります。
システム構成図が存在しない
設計書や構成図が残っていない場合、移行計画を立てることが難しくなります。
サーバー同士の接続関係や、アプリケーションの依存関係がわからないまま移行すると、思わぬ業務影響が発生する可能性があります。
前任者が退職している
システムを構築した担当者が退職しており、詳細を確認できないケースもあります。
この場合、設定内容や運用ルールが属人化している可能性が高く、まずは現状把握から始める必要があります。
サーバーの依存関係が不明
一見すると単独で動いているように見えるサーバーでも、実際には別のシステムやデータベース、認証基盤と連携している場合があります。
依存関係を把握しないまま移行すると、移行後に一部機能が使えなくなるリスクがあります。
予算化できていない
EOS対策には一定の費用がかかります。しかし、対応の必要性に気づいた時点で予算化されていない場合、すぐに対策を進められないことがあります。
そのため、早い段階で対象範囲と概算費用を把握し、次年度予算や中期計画に組み込むことが重要です。
こうした課題がある場合、まずは現状把握から始めることが重要です。
まとめ
EOSを迎えたシステムを使い続けることは、セキュリティリスクだけでなく、業務停止やコスト増加、競争力低下にもつながります。
特に2025年から2027年にかけては、Windows 10、Office LTSC 2021、SQL Server 2016、Windows Server 2016など、多くの企業で利用されている製品が相次いでサポート終了を迎えます。対応が集中する前に、計画的な対策を進めることが重要です。
しかし実際には、どのサーバーがEOS対象なのかわからない、システム構成がブラックボックス化している、何から手をつければよいかわからないという企業も少なくありません。
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