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テレワーク下でのストレスの元凶だった通信速度の遅さ。SD-WANならどのように解決できるのか!?

『テレワーク環境でのネットワーク速度のクレームが多いんだよなぁ・・・』
『確かにWEB会議でカメラ付けるとブツブツ切れてしまう・・・』
    
こんなお悩みありませんか?

こうしたテレワークにおけるネットワークトラブルは、インターネットへの接続出口が“1つ”しかないことで、回線が混雑し、トラブルが引き起こっているケースが多いです。

“SD-WAN”の活用により、インターネットへの接続出口を”複数”に増やすことができるため、このネットワークトラブルを解消することができます。

今回は、テレワーク環境で発生しがちなネットワークの課題に対する解決手段としての“SD-WAN“を解説していきます。

まずは、テレワーク普及の現状から見ていきます。

目次[非表示]

  1. 1.テレワークの急拡大
  2. 2.テレワークをしたくてもできない
    1. 2.1.テレワーク普及率
  3. 3.テレワークをしているが、ネットワークに課題がある
  4. 4.SD-WANとは?
  5. 5.SD-WANで解決できること
    1. 5.1.拠点やアプリケーションごとにどの経路で通信するかを選択できる
    2. 5.2.ランニングコストを抑えることができる
    3. 5.3.リアルタイムで状態の良い回線を自動判別してくれる
  6. 6.まとめ

テレワークの急拡大

2020年1月頃から世界的に感染拡大をしている新型コロナウイルス。
当時は日常生活にここまで大きな影響を与えることになるとは誰も予想できなかったのではないでしょうか?
マスク着用やソーシャルディスタンスは当たり前になり、飲食業界や観光業界、航空業界など大きなダメージを受けている企業も少なくないでしょう。

また、これまではオフィスで仕事をすることが当たり前でしたが、突如としてテレワークやシェアオフィスでの勤務に切り替わった方も多いはずです。
テレワークが普及することは、テクノロジーの進化への適応や働き方改革推進などの観点からみると良いことだと考えます。

しかしながら一方で、最適なテレワーク環境の実現に向けて、課題を抱えているIT担当者も多いのが実情です。
それでは、どういった課題があるのでしょうか?


テレワークをしたくてもできない

まず一つ目は、テレワークをしたくてもできない、という課題です。

新型コロナウイルスの拡大により、「テレワークをできるように何とかしてほしい」と経営層からミッションを受けた方もいるのではないかと思います。
とはいえ、以下のような課題があり、対応が進まないケースも多く耳にします。

  • 業務で利用しているPCがデスクトップのため持ち運びできない
  • 社内利用を前提として構築されたネットワーク構成のため外部でのPC利用が難しい

社員がデスクトップを使っている場合、ノートPCへの変更、もしくはBYOD(※1)への変更をすれば、対応できます。
一方で社内ネットワークの構成変更については、そう簡単に推進できるものではありません。膨大な費用と時間が掛かってしまうためです。

これらの対策として、テレワークの実現に向けて、“リモートアクセスVPN(※2)”を検討(導入)している企業の方も多いのではないでしょうか。
しかし、単純にVPNを導入するだけではインターネットの混雑という課題に直面してしまう可能性が高く、さらに別の手段を考える必要があるのです。
詳細は後述いたします。

※1:BYOD:個人所有の端末で業務を実施すること。

※2:リモートアクセスVPN:通信を暗号化し、社外にいながらPCやモバイル端末からでも社内システムにアクセスできるようする技術。


テレワーク普及率

ここで、既にテレワークを実現している企業は国内でどれくらいあるのかを見てみます。

東京都に焦点を当てた情報ですが、東京都公式ホームページによると2020年3月以降の推移をまとめたのが、以下の表となります。

図1

東京都のテレワーク導入率
2020年3月
24.00%
2020年4月
62.70%
2020年12月
51.40%
2021年1月前半
57.10%
2021年1月後半
63.50%
2021年2月前半
64.80%
2021年2月後半
58.70%


次の表は東京都内の企業について、2021年2月後半時点での従業員規模別テレワーク導入率となります。

図2

従業員規模
導入予定なし
今後予定あり
導入している
30〜99人(249社)
50.2%
2.0%
47.8%
100〜299人(123社)
30.9%
0.0%
69.1%
300人以上(73社)
19.2%
2.7%
78.1%

図1,2 参照:東京都公式ホームページ
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/03/06/14.html

東京都では緊急事態宣言が初めて発表された2020年4月以降、常に50%を超えています。また、従業員数が多い企業ほど、テレワーク導入が推進されていることが分かります。

しかし、テレワークを導入したあと、発生する課題がでてくるのです。
これが二つ目の課題です。


テレワークをしているが、ネットワークに課題がある

『アクセスしたいのに全然繋がらない!なんとかしてほしい!!』
『web会議中に映像、音声がぶつぶつと切れて使い物にならない!!』
『もはや何にも繋がらなくて仕事にならない!』

よく耳にされると思います。
これらの原因として考えられるものはいくつかあります。

特に多い理由としては、冒頭で説明しましたが、全ての拠点が本社経由でインターネットに接続されるネットワーク構成になっているため、その出口で通信が混雑してしまっているということです。

特に最近はクラウドサービスを利用することも増えてきたため、より顕著にネットワークの混雑という課題を抱える企業も少なくありません。
総務省の調査によるとクラウドサービス導入率は60%を超えているようです。

参照:総務省公式ホームページhttps://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.html

そこでまず考える解決策は、「今のネットワーク帯域を太くする」ということではないでしょうか。
恐らく、ネットワークの混雑という課題を抱えている企業ではキャリア回線などで閉域網を使っているはずです。

しかし、閉域網の帯域を太くするとランニングコストも一気に跳ね上がってしまい、中々踏み切ることができないというジレンマに陥ります。
そこで、これらの悩みを解決する手段として”SD-WAN”が注目されています。
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SD-WANとは?

これまで何度か出てきている“SD-WAN”とは、Software-defined Wide Area Networkの略称で、ソフトウェアによりWANを仮想化し一元管理することが出来るようになる技術のことです。

これまで本社やデータセンターなど社内で完結していた通信が、クラウドサービスの普及によりインターネットへアクセスする機会が増えています。
その結果として現状のネットワーク構成のままだと通信の逼迫、遅延という問題が起きます。この問題を解決してくれるのが”SD-WAN”という技術です。

  • 〇〇支店からのアクセスは本社を経由せず直接インターネットへ接続する
  • 特定のアプリケーションは本社を経由せず直接インターネットへ接続する

このような設定が可能となり、ネットワークの負荷分散を実現することが可能になります。


SD-WANで解決できること

SD-WAN導入で解決できる、テレワーク環境下でのネットワーク課題は以下の3つです。

  1. 拠点やアプリケーションごとにどの経路で通信するかを選択できる
  2. ランニングコストを抑えることができる
  3. リアルタイムで状態の良い回線を自動判別してくれる

そのほかにも初期セットアップが簡単、運用管理の一元化といったメリットもありますが、今回はテレワークにおけるネットワーク課題に絞って解説いたします。


拠点やアプリケーションごとにどの経路で通信するかを選択できる

“インターネットブレイクアウト(※3)“という技術を活用することで、本社からインターネットに抜ける部分の混雑を回避することができ、サクサクと通信することが可能となります。
※3:インターネットブレイクアウト:指定した通信について、本社を経由せずに直接インターネットに抜けさせるようにできる技術

これにより、従来のVPNでは成しえなかった、社外からのネットワーク通信を快適にすることができるようになります。また、SD-WANはアプリケーションレベルで通信経路を選択することが可能です。
例えば、アプリケーションAは直接インターネットへ接続し、アプリケーションBは本社又はデータセンターを経由してインターネットへ接続するという設定ができます。

よくある例として、Microsoft 365やZoom、Windows10の定期アップデートについては特に通信の監視を必要とするものではないため、直接インターネットに接続させるケースが多いです。
要するに、監視が必要な通信は本社又はデータセンターを経由し、不要なものはインターネットブレイクアウトすることで、通信の輻輳・遅延を防ぐことができるようになります。


ランニングコストを抑えることができる

インターネットブレイクアウトを実現するためには、拠点に新たな回線を契約することが必要ですが、専用回線(閉域網)に比べて安価なインターネット回線を使用することで費用を抑えることができます。

これだけだと安価とは言ってもランニングコストは上がってしまいますが、現在使用している専用回線の契約内容を見直すことでランニングコストの減額を実現できる可能性が高いです。

以下はイメージ図となります。

図3

また、製品により特長は異なりますが、拠点に置くハードウェアとインターネット側でもしっかりとセキュリティ対策をすることで、インターネット回線でもセキュリティを担保することができます。

昨今では様々なメーカーから製品が発売されているので、自社のセキュリティ要件と照らし合わせながら選定すると良いでしょう。


リアルタイムで状態の良い回線を自動判別してくれる

本社や支店の中でも重要拠点についてはハードウェアだけではなく、回線についても冗長構成を組むことがあります。
例えば回線を2本引いていた場合、常にその通信を監視しているため、アクセスする際により快適に使用できる回線を自動で選択することができます。
この機能によりインターネット回線のパフォーマンスを最適化することが可能です。
※この機能についてはvelocloud(vmware社)の機能となります。


まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大や働き方改革をきっかけにテレワークが普及していますが、課題を抱えている企業も少なくないでしょう。

SD-WANであれば、

  • 拠点やアプリケーションごとにどの経路で通信するかを選択できる
  • ランニングコストを抑えることができる
  • リアルタイムで状態の良い回線を自動判別してくれる

といったことを実現できます。

これからテレワーク環境を検討される方、既にテレワークは実施しているけどネットワークに課題を抱えている方にとって、”SD-WAN” の導入が1つの選択肢となるのではないでしょうか。


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※この記事は、公開時点の情報をもとに作成しています。



仙代
仙代
首都圏営業本部の営業を担当。 2021年からアイエスエフネットのSD-WANプロジェクトチームにも参加することになり、リードの獲得や提案活動に奔走している。

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